パパラッチ | ショートショートはいかがですか?

パパラッチ

俺は某有名週刊誌の専属カメラマン。

有名人の私生活の特ダネを他の誰よりも早くカメラに収めるのが仕事だ。

人は俺達のことをパパラッチと呼ぶ。


















この仕事では実力が物を言う。

スクープを嗅ぎ分けるプロの勘と、ベストショットを撮るためにひた

すら待ち続ける忍耐力が必要だ。
















この仕事を始めて早3年。

俺にも最大のチャンスがめぐってきた。











情報屋から、超人気若手アーティストのが見知らぬ男とホテルに

入ったとのタレコミがあったのだ。











周りには俺以外誰もいない。

スクープ独占のチャンスだ。

















電柱の陰に隠れて1時間ほど待っていると、深々と帽子を被り、

サングラスをかけた女性が背の高い男性とホテルから出てきた。

女性は口元にマスクを付けているがHに間違いない。











俺は陰からそっと正面に回り込み、思い切りシャッターを切った。









あたり一面がフラッシュで明るくなる。













Hは顔を手で覆うがもう遅い。

このカメラにはバッチリとHの顔が写っている。











男は悲鳴を上げて逃げ去って行った。

しめた。男も有名人だったのかもしれない。






















































「待って!お願い」

俺が急いでその場を走り去ろうとしたその時、Hが俺を呼び止めた。










「お願い。理由があったの。話しだけでも聞いて」

声の震えでHが泣いていると分かった。








































俺はもっと重要な情報が手に入れられるかもしれないと思い、Hの

言い訳を聞くことにした。

な~に、話を聞くだけならタダだ。















道路の真ん中で話すのはまずかったからとりあえずホテルの中で話し

を聞くことになった。

































Hの話は俺の予想を遥に超えていた。

情けないことに俺は同情さえ覚えてしまった。











スクープはまた撮ればいい。

俺はフィルムを取り出し、Hに渡した。



































俺はHを慰め、一緒にホテルを後にした。






























その時、1人のカメラマンが俺達の前に現れてシャッターを切った。

あたり一面がフラッシュで明るくなった。


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